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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
岩尾 淳子
救われたら来世はパンをつくろうか焼き上がり待つフロイン堂の前
にんにくを握って歩くぼんやりと曇っても月が大きい夜に
ニコライ堂この
夜
よ
揺りかへり鳴る鐘の大きあり小さきあり小さきあり大きあり
ふくろとじのような記憶のなかほどに坂道ありて君がふりむく
坂に置かれたオレンジのピンポン玉として残りの八月をくだってく
妙にあかるきガラスのむかう砂丘よりラクダなど来てゐるやもしれず
雨によごるる果実小鳥らのはらわたに累々として光りはじめん
とある日の夕まぐれどきとび交へるをさなき声の中を通りき
小さき鳥あかるく歌をうたふまに涙のごとき糞をして去る
つらいなら雪を炎と呼ぶ国へゆこうよ、もっとつらくなろうよ
会いたい人が夕暮れに帰りくる奇跡のごとくドアを叩いて
「ぐるぐる食堂」日覆ひの文字に近づけば次第に中のがらんどう見ゆ
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