平岡直子のアーカイブ

寝たる手の届くところまで電灯の紐を垂らせば年は終りぬ

逢えばくるうこころ逢わなければくるうこころ愛に友だちはいない

「先生、吉田君が風船です」椅子の背中にむすばれている

ユニクロに誰にもさわれない月の模様のシャツがあってもいいね

すべてを選択します別名で保存します膝で立ってKの頭を抱えました

ネコかわいいよ まず大きさからしてかわいい っていうか大きさがかわいい

タンク山にのぼった、わたし、明け方の夢にあなたの顔をしていた?

真夜中の電話に出ると「もうぼくをさがさないで」とウォーリーの声

樹木から樹木に移り肺のごと息づきてをり冬の時計は

ローソンのバックヤードでくちづけをおぼえる子供たちによろしく

シャツの胸に十円玉が透けている日差しの中であなたは使う

墓石にかけようと買つてきた水の、ペットボトルに口つけて飲む

裏をかきに・いけない炎のまけない声のいけない炎の六花書林の

駅で見た猫の写真がこの町のすべての猫の始祖だと思う

梟(ふくろう)に禁じられているごとし女同士でテニスすること

さらさらさらさらさらさらさらさらさらさら牛が粉ミルクになってゆく

いかなるものをも置かぬ斎壇となりたり暮るる野の地平線

どのレジに並ぼうかいいえ眠りに落ちるのは順番にではない

体重は二〇グラムで生きてゐる雀ねむの枝(え)にゐて揺れやまず

くちばしを開けてチョコボールを食べる 机をすべってゆく日のひかり

炎天に悲しい胸が光るまで僕はあなたと広場に立てり

天皇が原発をやめよと言い給う日を思いおり思いて恥じぬ

尽くすほど追いつめているだけなのか言葉はきみをすずらん畑

買い被られているようであり馬鹿にされているようでもある真冬の西瓜

いろいろなときにあなたを思うだろう庭には秋の花が来ている

残雪は砕いたオレオをちりばめたバニラアイスでもうすぐきえる

きさらぎの雪にかをりて家族らは帰ることなき外出をせよ

なんと俺、短い名前がだいすきで「手」と名乗る女の胸を揉む

薔薇色の馬ゑがきたるワンピース着たるをみなごちちははを捨てよ

秋分の日の電車にて床(ゆか)にさす光もともに運ばれて行く

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