光森裕樹のアーカイブ

五十年まったき闇を知らざりき停電の夜も眠れるときも

東京を捨ててIT捨てざりき言の葉しるき光森裕樹

もみの木はきれいな棺になるということ 電飾を君と見に行く

ここしかない、そういう風でなくていい 春の柳が風にふくらむ

やや飽きし旅の窓辺においておくみづのかたちはひかりのかたち

酔ひ深き夫がそこのみ繰り返す沖縄を返せ沖縄を返せ

もう会はぬ従兄弟のやうなとほさかな みなとみらいとニライカナイは

沖縄は地球(テラ)に抱かるる守宮かもまるくゆらりと(まみ)をめぐらす

とぎ水を捨てつつ思ふこの島に取り残さるるごときうつし身

島檸檬島唐辛子島豆腐そうなんだよな島なんだよな

メロンパンの袋をあける いつもとは違うあけ方でとても綺麗に

あら汁の(なんの魚かわからないけどていねいに食べている)あら

9割はブドウ糖だと聞いたからラムネのように薬をたべた

地震やらサリンがばら撒かれたときになんで俺らは産まれたのだろう

巻末の旅のひとことウイグル語「ありがとう(ラハメット)」を指し注文終えぬ

厨辺にぽとりぽとりと水おちてうつぶせのごとく冬に入るなり

掃除機は仰向けのままひかれをり「ずぼらやなあ」と叱られながら

農機具のレバーを握る夜の夢しょうがねぇなァ田園を刈る

猫の腹に移りし金魚けんらんと透視されつつ夕日の刻を

お酒呑みません煙草吸いません運動しません すみません

新潟のさといもぬめるしっかりとここで暮らして雪を見なさい

香りさえ想像されることはなくりんごはxみかんはyに

歩きつつ本を読む癖 電柱にやさしく避けられながら街ゆく

この空に数かぎりない星がありその星ごとにまた空がある

恋愛が恥ずかしかった夏 海を見るためだけに海に出かけた

観賞用金魚百匹と日を送る 観られているのは吾かもしれず

嘘ではない、嘘ではないがどこまでも滑らかである彼の言葉は

夜のでんしやに「もうだめだな」といふ人あり雨の言葉のやうに沁みくる

ベランダの手摺りに砂の残りいる会わぬと決めし人の掌のごと

<先に行く PM3:00> かかわりのない伝言の前を過ぎてく

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