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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
吉野 裕之
あたたかき日に氷片のごとき日をはさみて冬のはじめ子は癒ゆ
コマーシャルのあひだに遠く遅れたるこのランナーの長きこの先
逆光の扉(どあ)にうかび少女立てばひとつの黄昏が満たされゆかむ
少年の糸鋸(いとのこ)一つ残りいて夕陽にひろき工作の部屋
今日は水出でぬ噴水の渇きいてあからさまなる空間が見ゆ
日の丸はお子様ランチの旗なれば朱色の飯(いい)のいただきに立つ
「酔ってるの?あたしが誰かわかってる?」「ブーフーウーのウーじゃないかな」
忘れてしまうものとして聞く生い立ちに母と別れた夏の日がある
おそろしき桜なるかな鉄幹と晶子むすばれざりしごとくに
なつかしい野原はみんなとおくから来たものたちでできていました
レジの女(ひと)の指(おゆび)がひどく荒れてゐる指がわれにおつりを呉れぬ
緩き時間まとう木橋を渡り終え人は陽射しの中へ還らむ
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