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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
門脇 篤史
わたくしを追ひ抜いてゆく足たちのああまた季節が
過
よぎ
りたる音
罐焚火のほのほの舌は夜を舐め今年の死者をほのかに照らす
眠りより身を引き抜いてけさ過ぎし雨に濡れたる芝を踏みたり
家路とは常に旅路でゆるやかに髪を束ねて川沿いを行く
教室の鍵を投げれば非常灯の光を浴びて鱗に変はる
念校は人生のためあるのだろう想い出広がる冬の草はら
砂糖衣のくだけるおとの響きたるここが私の頭蓋の空き地
十年をオークの樽に沈みいしライ麦の小さき呟きを飲む
人間はひとつの不潔なる川と
靠
もた
るる窓に夕茜燃ゆ
死ぬまでに看取るすべての花束でいまはあなたの手をふさぎたい
三〇歳を抜けたる先の麦の穂のなんて壮大なボーナストラック
ハムカツにしょうゆを垂らす舌にもうざっくりとした食感がくる
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