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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
門脇 篤史
りんごひとつ手にもつ時に空深く果実に降るは果実の時間
かなしみを晒すごとくに灯のしたの林檎の皮に刃をくぐらせつ
人事などもわもわとして春の夜のサッポロ一番やはり塩あぢ
山頭火で三一〇円のラーメンを食べていたのが三月十日
カーナビは瞬時にわが位置示すゆえ狙撃兵の眼天より感ず
口中に舌一枚の重さありて四温ののちを降る雪仰ぐ
春浅き付箋だらけの子の辞書がことばこぼさぬように立ちおり
三月のビニール傘にわたくしをころさぬほどの雨降りそそぐ
receiptの中のpなどどうでもよしどうでもよくて一点減らす
読みかけの文庫本『斎藤茂吉歌集』にて百足を叩く 仕方なかりき
直方体にとどめられたる牛乳のこの世のかたち提げて歩みぬ
生まれ変はつてもサラリーマンであるやうな冬空の下にバスを待ちをり
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