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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
三井 修
時刻表は褪せて西日に読めざりき岬の鼻に待つ風のバス
死の時間近づく人に「おだいじに」とはいへぬただ礼(ゐや)にて離る
病廊を清掃しゆく機器の音遠ざかり日曜の夕ぐれが来る
おおよその若き日を知る友どちと湯葉のお煮染め茶の間に食ぶ
太陽を迎える準備はできている菜の花畑に仁王立ちする
当事者が切り出しくれば長くなる無断複製をされにし経緯
雑魚寝する頭跨ぎてだれかまた棺の傍に泣きにゆくらし
食卓にこぼれて光る塩の粒、宇宙の闇をわれは想へり
大鍋に湯がゆっくりと沸きたつを見つめておれば一世は過ぎん
不自由な位置に貼りつきコンセント叱られつづける二十数年
泉町大工町過ぎ坂道を下りぬ向かい風を浴びつつ
待ちあはせしたる子が裸子植物に見えてくるなりグリーンの服
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