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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
さいかち 真
鳥は飛ばねばならぬ 人は生きねばならぬ怒濤の海を 飛びゆく鳥のように
丘を越え谷をわたりてしろがねの薄波寄る島をしぬばむ
白髪薄夕日に燃ゆる荘厳を息つめてみつつすべもあらめや
わが部屋の前の木のみが芽吹かない 私が影でごめんなさいね
この日ごろ遊歩道には氷とも泥ともつかぬものの落ちをり
こがらしのあとの朝晴間もなくて軒うすぐらみ時雨降るなり
航跡が消えずにのこる夢を見た びるけなう、びるけなう 遥かなり
小雪に凍みた茶褐色の風景があり、うしろ影をみせて行くわが子を見た
思慕清く胸こみあげて複製のちいさき絵にもしばし救はる
窓もたぬ夜の壁面に影うつる冬木のいちやう枝しげくあり
あたらしき羽織の紐のともすれば空解けすなり初冬の夜は
かへりみてあやまちなしと誰が言はむ人と物との歪みしげき世に
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