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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
今井 恵子
十二月二十八日午後二時のひかりのなかに二つの林檎
クローゼット等間隔に吊るされた薄い衣服が息吹き返す
みづからが飛べざる高さを空と呼び夕陽のさきへ鳥もゆくのか
残業の夜はいろいろ買ってきて食べてゐるプラスチック以外を
九条は好きださりながら降りだせばそれぞれの傘ひらく寂しさ
言擧げを吾はせねどもうら深く國を憂ふる者の一人ぞ
凍み豆腐干し柿大根 東北の手仕事に降る雪のつぶてが
広辞苑になくて大辞林にある「草生くさふ」よき名の草生さんに会ふ
幼らの輪のまんなかにめつむれる鬼が背後に負わされし闇
戰爭のたびに砂鐵をしたたらす暗き乳房のために禱るも
建築のあいまを燃やすあさやけを飛びながら死ぬ冬の鳥類
厨辺くりやべの大き水かめ厚氷あつごほり柄杓ひしやくもて割る水くむ穴あなを
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