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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
土井礼一郎
卵殻を破りて生まれし君なるか人嫌いにて空恋いており
トリニダード・トバコって国にはたぶん行かない 裏窓に咲く花を見ている
かかえこむ人だったのだ文机のメモに「捨てる!技術」とありぬ
いつもながらのわざとらしさが嬉しいぞ霧晴れてさらに高き山頂
人生という長き悪夢の覚める朝ああよく寝たと欠伸などして
生きたがるいのちがあるので生きているただそれだけのおあいそ笑い
表面に〈さとなか歯科〉と刻まれて水星軌道を漂うやかん
昼間にはなかったかのよう夜の駅からドクダミの白見えすぎている
死ではない終はりを待つてゐるひとがありの実を剝く皮をたらして
ほの白き卵を守りつつ女王蟻も身をよじるかな あくびのために
桜散る川沿いにひと群れながら私たちみな川の見る夢
口角を上げて笑へと書かれゐる接客マニュアルのさびしき笑ひ
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