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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
久我 田鶴子
仕事にいく途中に柿の木があって実がなっているいつ見たときも
働くは自己実現といいさして/否、生きていく技術とおもう
欲しきもの問はれて歌のほかなにも望みたまはず 忘れずあらむ
食卓に林檎の時間うごきゐむ人の不在を澄みゆきながら
韓国と日本どっちが好きですか聞きくるあなたが好きだと答える
一葉を地より拾ひて手渡せばそのひとひらはすでに恋文
加速して高速道路へなじむとき時はゆったり時だけをする
身悶えの果てに緋色の糸を吐き出して妖しきははそはのひと
こっくりと深くうつろいゆくことをもみつと言いき手をひろげたり
ぴんと張る布をシャーッと切り裂いた 感情のこない先の先まで
来る船来る船にある島なれば瀬戸内海に三千の島
転調をかさねていずこにいたりつく尖塔が吐く無限の夕照
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