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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
江戸 雪
空のない窓が夏美のなかにあり小鳥のごとくわれを飛ばしむ
愛恋のはざまむなしも雪崩つつけぶるがままに幾夜ありけむ
こともなく陽の照れる街を須臾に見て坂をくだりをり逢ひにゆくなり
「母よかかはりなし」と言ひにけり若きナザレの聖工匠(たくみ)の子も
あらはなるうなじに流れ雪ふればささやき告ぐる妹の如しと
亡き父のマントの裾にかくまはれ歩みきいつの雪の夜ならむ
十人殺せば深まるみどり百人殺せばしたたるみどり安土のみどり
母たちは乳母車より手を放すセガンティーニの絵に見入るとき
まぎれなく昨夜のわたくし其処に在り裂きたる紙のうち重なれば
アンデルセンその薄ら氷(ひ)に似し童話抱きつつひと夜ねむりに落ちむとす
妻の手紙よみつつおもふ互(かた)みなる吾の手紙も悲しからんか
モニターにきみは映れり 微笑(ほほゑみ)をみえない走査線に割(さ)かれて
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