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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
梶原 さい子
つぎつぎに「おじやましました」と言ふ声の聞こえて息子もゐなくなりたり
ひと一人ひと生に使ふ水の
量
かさ
せきれいは小さく水を飲みそむ
敗戦処理投手のやうに引き継いでデスクのうへの灯をともしをり
野仏に捧げられたる小菊あり祈りとはただ
匿名
アノニマス
にて
老いたるは化けやすしとぞ
艹
くさかんむり
かぶれば花よ 私は生きる
遠き日の水平、リーベ、ぼくの船、沈めて青し秋の内海
家族みな子どもにかへり秋の日を子どもどうしで遊んでみたし
女(一六歳)金色の / 女(二四歳)木の実ころがる / 女(三二歳)山のうらへ / 女(四〇歳)あなたはとうに / 女(九六歳)行ってしまった
かなしいね人体模型とおそろいの場所に臓器をかかえて秋は
秋の字の書き順ちがふちがひつつ同じ字となる秋をふたりは
網戸にはときおり欅の影ゆれて目詰まりしやすい光があった
くぼみには白き卵をのせるべしああやはらかき秋の身体
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