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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
梶原 さい子
皸といふ皸にワセリン塗りこめて立ち直りゆくものか冬の夜
遠い遠いあなたよ 雪降る川の面にはだかの指を触れて帰り来
待ち合わす人のうしろで芯となるステンドグラスに光るむらさき
アエイオウ 口つぼめたりひろげたり 窓の向こうの雪の唇
冬の風よけながら話す声ならん
火屋
ホヤ
のようなる夜を背にして
しっとりとつめたいまくらにんげんにうまれたことがあったのだろう
三連星
からすき
よ初めて人を抱きし夜のその夜のやうに冷ゆるからすき
眠りゐる子の息のみがやはらかし冬の星座が星をふやす夜
晩年のあなたの冬に巻くようにあなたの首にマフラーを巻く
おのもおのも雀のときを耐へてゐる羽根に砂粒をつぶさに
塡
う
めて
伏せられしボートのありてこんなにも傷はあるんだ冬の裏には
何気なく凭れしものが確かなる支えとなりて冬の雲見る
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