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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
魚村 晋太郎
人生のもつともつらい瞬間は過ぎたのだらう 内装は蒼(あを)
一二月二十八日午後二時のひかりのなかに二つの林檎
二千年 前、に生まれた嬰児の(さう!)血の色のリボン、を、結ぶ
地下のバー酔ひやすくして己が手に残る時間を人ら埋(う)もるる
まだ乾かない水彩の絵のやうに雪くる朝の雲がにじんで
寒波来て眠りの早き街遠く暴走族よごくらうである
メールでは加藤あい似のはずだった少女と寒さを分かつ夕暮れ
みんな仕返しが大好き極月の戯(そばえ)きらきらこうずけのすけ
ガス室の仕事の合ひ間公園のスワンを見せに行つたであらう
敗れたる國といへども涙ふきゐるをとめあり映畫館にて
冬という季節がわれに大げさな息をさせたり向かい合うとき
さやうならとは永久(とは)に人語よわれは人間(ひと)青天に愁ひなきこゑをききとむ
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