光森裕樹


太陽の沈まぬ国のひまはりは首落つるまで陽を追ふといふ

朋千絵『リリヤン』(ながらみ書房:2000年)


(☜7月24日(月)「かすかに怖い (7)」より続く)

 

かすかに怖い (8)

 

白夜で太陽が長く沈まない国では、向日葵は太陽を追い求め続けてやがてはその首を自ら落とすことになるという――
 

白夜があるような高緯度の場所で、向日葵は育つものだろうかは分からない。しかしながら、自らの力で自らの首を落としてしまう向日葵の映像は頭から離れがたく、一首をいつまでも記憶に留める。
 

日に花を向けるという、おそらくは生存のための仕組みが、白夜という想定外の環境においてはくるりと反転して死を導く。なんとも恐ろしい。
 

夏を代表する花として誰しもが知る向日葵であるが、その大きな花は太陽に向ける「顔」のようにも思える。その背丈と合わせて、どこか人間に近い、不気味な存在とも言えるかもしれない。
 

立ちしまま死に至る他なくば夜もなほ恍惚として金の向日葵  河野裕子『ひるがほ』

 

河野裕子のこの歌でも、立つ/死に至る/恍惚とするという言葉は向日葵を擬人化しているというよりも、向日葵が人間のような存在であるから導かれた言葉のように思える。
 

もう一首、向日葵が詠まれたかすかに怖い歌を引いてみたい。
 
 

(☞次回、7月28日(金)「かすかに怖い (9)」へと続く)