吉田 隼人


問十二、夜空の青を微分せよ。街の明りは無視してもよい

川北天華

 SNSを中心に話題になった歌。「同じような歌はたくさんあるのに、なぜ?」という問いに答えられる自信はないが、なんとなく「SNSでバズりやすい歌、そうでない歌」という基準はあるのだと感じられる。自分の歌はバズらないほう、とも。

「問十二」というので、だいぶ先の方の問題だ。その割に出題の文章はざっくりとしている。「夜空の青」が、最果タヒの詩集ではないが、SNSで人の心を掴んだとっかかりになっているのかも知れない。わかりやすく詩情をそそられるワード。実は問題文のような形式で詠まれていることよりも、抒情の核心はこういうところにあるのではなかろうか。そこに「微分」というわかりやすい理系ワードが接ぎ木されるのが、なおのこと公約数の大きいポエジーにつながっていく。下句は「~は無視してもよい」という、これも理系の問題文を思わせる構文に収めきるためのものといってよいだろう。「町の明り」を組み込むことで夜空が黒でなく青を基調にえがかれる種明かしのような要素も含まれており、見かけとは裏腹にすべて説明が付けられそうなところも人心を引きつけるところか。問いの中に既に答えは含まれているという、受験のときによく聞いた言い回しが思い出される。