吉田 隼人


冷たくも祈り組まれたその御手におのが手を寄せぬくみを分かつ

壇蜜(「NHK短歌」2015年9月6日放送)

 遺体の手であろうか。すでに冷たくなってしまったが、それでも祈りの形に固く組まれている。あるいは祈りの形に組ませたのか。故人の遺志を尊重して。御手という言い方からも故人に対する敬意が強く感じられる。

その冷たい手に自分の手を寄せて体温のぬくみを分かつ。最期のときに少しでもあたたかさが、ひとの温もりが残っているように。たとえ冷たくとも祈りの形に組まれたその両手のために。