吉田 隼人


昼もなほつめたい床に膝をつき毒を吸ひ出すやうにくちづけ

結樹双葉(「歌壇」2015年2月号)

 夏の歌だろうか。昼間でもまだ冷たい、恐らくは薄暗い廊下のような場所であろう、そこに膝をついている。そして「毒を吸ひ出すやうに」口づけをする。

全体に陰の濃い相聞歌である。昼も冷たい床に膝をついて、口づけを交わすだけでも隠微な感じがあるのに、毒というワードが不穏さを際立たせる。毒を吸い出すのだから緊急性のある、救助行動のはずなのだが、むしろ毒々しい口づけのように思われる。毒を口実に交わされるような、そんな口づけ。