吉田 隼人


各々が干支の獣を抱きしめて保健所へ行くこの昼下がり

小田原知保「新興住宅地S」(『早稲田短歌』:40号)

この連載も長い中断を挟みつつ何とか最後まで来ることができた。最後なので年末らしい歌を採ってみた。

保健所というと今は新型コロナウイルス対策の最前線という感じだが、世の中がこんなに変わってしまうまでは、野良犬や野良猫を殺処分する場所というイメージが強かった。だからこの歌も、各人が自分の干支の獣を抱きしめて保健所に処分してもらいに連れていくような情景を想像して読んだ。

干支の獣といっても犬や鳥などはともかく牛、虎、馬、羊、そして何より竜など抱えきれないような動物もたくさんいる。作者も自分も巳年だから蛇なら種類にもよるが何とか抱えていけるだろうか。

来年の干支に心を致しながら、連載を締め括らせていただこうと思う。一年間ありがとうございました。