玉城徹『われら地上に』
こんにちは。
あけましておめでとうございます。
今年の「日々のクオリア」を担当することになりました。
よろしくお願いします。
わたしは、「短歌ブログ」というようなものをやるのがこれで4度目になります。
4回というのは、一人の人生においていささか多いような気がするのですが、
そういうさだめなのだと思ってマイペースにやらせて頂こうと思います。
愛はさだめ、さだめは死。
では今日の歌。(慣れなくてルビが上手く振れないのですが、「応ふ」は「いらふ」です)
1924年(大正十三年)生まれの玉城徹さんの歌、第三歌集『われら地上に』の一番最後の歌になります。
これ、かっこよくて読んですぐ好きになりました。
読んでいきましょう。
「ジャコメッティ」とはスイスの彫刻家、アルベルト・ジャコメッティのことでしょう。
作品については説明が難しいので画像検索とかして下さい。
非常に思索的というか、極まった感じの人物彫刻が有名な人です。
わたしは都美で一度見たことあります。真向かうとけっこうきます。
すごさ、きます。画像ではわからないところですが。
で、そういう思索的な人物彫刻を作る人に、「頭とはなにか」と尋ねたのですね。
そうしたら「胸の付け根」と答えた。
胸の付け根・・・
深いというか、深すぎてよくわからない感じがあります。
どっちかいうと、頭が生えててその付け根が胸なのかなとも思うし、
「しからば首とは?」と続けて問いたいような気もします。でも聞けない雰囲気がすごいです。
ジャコメッティは上下が逆さまなのか。
ともかく、この極めて簡潔、「端的」な答え、というか謎が、結句6音とともに放たれて終わります。
この何とも言えない感じがこの歌の手渡すものなのかなと思います。
満たされない1音の余韻が謎と思索の雰囲気を作っていて、字足らずはめちゃくちゃ効いていると思います。
これほどきれいに決まった字足らずはあまり思い浮かばないくらいです。
破調は数あれど、字足らずをエレガントに決められる人ってそんなにいなかったりするんですよね。
ひょっとしたらこれはジャコメッティの有名な発言だったりするのかもしれません。
知識不足で申し訳ないですが、そのあたりは不明です。
それで、これは歌集の締めの一首だから、この雰囲気のまま一巻が終わります。
本で読んでいると、それがとてもかっこいいのです。