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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2013年10月
切除されし妻の乳房は黒々と小さくなりて盤に置かれつ
ふるさとで日ごとに出遭う夕まぐれ林のなかに縄梯子垂る
紙ひとえ思いひとえにゆきちがいたり 矢車のめぐる からから
わたしたち全速力で遊ばなきや 微かに鳴つてゐる砂時計
すこしづつ息のはやさがずれてゐて合はさつた手のおもさかんじる
未来より借り物をするさみしさに書物なかばの栞紐ぬく
〈様式〉のまにまに花を描きいそぐガッシュの赤がすこし足らぬに
もう愛や夢を茶化して笑うほど弱くはないし子供でもない
ただの日となりてかろうじて晴れている十月十日ジョギングをせり
「夕顔の苗は残つてゐますか」とFAXを送る 地下街の花舗へ
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