花山周子のアーカイブ

生沼義朗/手すりへと寄りかかりおれば頭皮さえ放電している冬日のあわれ

なみの亜子/見飽きねば見続けるなり桜の体ゆっくり雪に描き出されるを

穂村弘/猫はなぜ巣をつくらないこんなにも凍りついてる道をとことこ

相原かろ/煌々とコミュニケーション能力が飛び交う下で韮になりたい

大松達知/四歳をぐぐつと抱けば背骨あり 死にたくないな君が死ぬまで

前田康子/縁側で祖母がすることぼんやりと見ていないようで見ていたんだ

今橋愛/この子ねことちがうか/ふとんにくるまる子/このこねこでも/この子/あいする

河野裕子/灯の下に消しゴムのかすを集めつつ冬の雷短きを聞く

お知らせ

山崎聡子/さようならいつかおしっこした花壇さようなら息継ぎをしないクロール

小島なお/ジーンズがほそく象る妹の脚の間を日々が行き来す

栗木京子/雪原にひとつともしびあるごとく耳下リンパ腺腫れゐて眠る

栗木京子/観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日(ひとひ)我には一生(ひとよ)

永田紅/人はみな馴れぬ齢を生きているユリカモメ飛ぶまるき曇天

マツコ・デラックスの愚痴と重なつた深夜 テレビの前にひざまづく

梅内美華子/能面の内より見る世はせまく細くただ真つ直ぐに歩めよといふ

梅内美華子/追悼式典ぶ厚き防弾ガラス立つ屈折率強き光をとほし

梅内美華子/うつしみは精肉売り場に漂へる漂白剤のにほひに冷ゆる

池田はるみ/あんたはなあどうも甘いと言はれてる烈夏の下を通つてゐたが

森尻理恵/陽に疎き庭でも母は鉢植えをあちこち動かし花を咲かせる

森尻理恵/一応はわれは大人で頭下げ頭上げしときその老いを見つ

森尻理恵/姫神山は花崗岩ゆえ噴火せぬと朝日に光る山を指差す

森尻理恵/廃屋のめぐりに赤きサルビアが手入れされいるように咲きおり

すみません。

大島史洋/あろうことかもやしが風に舞うようとわが大車輪を妻は評しぬ

大島史洋/この海のむこうにアメリカ くりかえす吾子とすこし恥ずかしきわれと

米川千嘉子/悪夢のごとくスーパーマリオが似合ふ首相リオにあらはれわれは萎えたり

米川千嘉子/冬晴れに背の縮みたること著(しる)しわが母コウテイペンギンの背丈

米川千嘉子/ハンドルを回せば父母いもうとも薄く出で来し洗濯機の記憶

米川千嘉子/ひとは誰かに出会はぬままに生きてゐる誰かに出会つたよりあかあかと

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