吉田 隼人


雪月花いち時に見つ しろたへに死者には死者の未来ありけり

林和清『木に縁りて魚を求めよ』(引用は『現代短歌文庫 林和清歌集』砂子屋書房:2019年)

雪月花とは本来それぞれの季節をさすもので、三つ一緒にまとめて出てくるものではないらしい。雪と月、月と花、は普通に見られる。雪と花、は珍しいが、それ以上に三つ揃うのは珍しい。しかし、ここでは三つ一緒に見えている。異常事態である。

わたしは死者と死者の時間を思っている。死者には普通に考えて過去しかないようであるが、ここでは死者には死者の未来があるのだという。そして死者も死者の未来も「しろたへに」染め上げられてしまう。三つ揃うと雪も月も花も白く見える。それに染め上げられて死者の未来も白の中へとフェードアウトしていくようだ。