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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
吉野 裕之
内臓のひとつかすかに疼きゐる春の地球に雨降りそそぐ
夜学終え歩む一人の長き影われに追われて揺るるわが影
地の上に立ちてほのぼの空仰ぐ人間というかたちに生きて
夜は巨大なたまご生むとぞ闇深く匂へるまでに黒きたまごを
燐寸と書きてマッチと読むことを知らざる子らが街を闊歩す
西日カッと部屋にさしこみあらあらと一枚の壁起ちあがる
花育て草抜き落葉掃く日々を重ねて青年と呼ばれずなりぬ
躓きし足よりその日そこにいし石の不運の方が痛しも
にがき夏まためぐり来て風が揉む無花果に不安な青き実の数
追突のトラックの音するどくて群集のなかわれは笑えり
たたきのめされ がーっと家が 無惨無情のこっぱみじんに
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