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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
大松 達知
覚めぎはの足冷ゆまこと冬来たる凛乎ときたる冬嘉(よみ)すべし
銃弾が打ち貫きし手帳がそのままに行李の中に収められゐぬ
さようなら。人が通るとピンポンって鳴りだすようなとこはもう嫌
俺という一人称を持たざれば伝えきれない奔流のある
酔ひにたりわれゑひにたり真心もこもれる酒にわれ酔ひにたり
白昼に覚めたる眼(まなこ)ひらきつつ舟の骨格を見わたすごとし
からだのないわたしはだれに見えるのか酢のような匂いをひとはうたがう
連れられてシベリア出兵を駅に送る兵と馬とのただ長き貨車
俳優の演技終はりて曲げゐたる細枝しづかに戻す助手の手
輸送機と爆撃機の音聴き分けるうすくれなゐの夕さりの耳
プラカード持ちしほてりを残す手に汝に伝えん受話器をつかむ
喪主として立つ日のあらむ弟と一つの皿にいちごを分ける
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