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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2016年9月
流れゆく川のきらめき木の間より見えずも聞ゆその川の音
水底[ミナソコ]に、うつそみの面わ 沈透[シヅ]き見ゆ。来む世も、我の 寂しくあらむ
第五演習室へ提げてゆく『中世の秋』 あきらめてきたもの
木々が枯葉を落とすみたいにかなしみを手放してゆくひとになりたい
誰がために揚がる半旗かふくらんで刻々と風のかたちを示す
曇り日の複写機ひらき詰まりたる雲のひとひらつまみ出したり
仕事終へ「また明日」といふ人のなくコトッと閉めぬ事務所のドアを
車椅子重たくなりて夢のなかの母はいづこを歩みゐるやら
発音をせぬKの文字 ナイフもておのがいのちを裁ちし男よ
すぎされば悪意も秋の陽だまりのなかにちいさく吸われてゆけり
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