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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2017年3月
新姓を貼り付けられて生き延びるこのベランダは終着点なり
今宵、月にシルバーベッドの影が見え老いたる鶴がひとりづつ臥す
「自由を謳歌」ってひとりぐらしのトイレにも鍵かけているわたくしが、か
浅草の地下に溜れる浮浪児を父の肩より見しを忘れず
恋愛にはるかに遠き関係として呼び出されたること多し
靴音となり人のゆく地下道の靴音の群へわれも降りゆく
ひと憎むことほど易きことはなく松の針ふる下を歩めり
リストラというよりかつての日本語は端的率直馘首と記す
食ひ終へて食ひ飽かぬとぞわが母のわれを憎しむ目に力あり
眼にふれて時にひかるは春の日に蜘蛛の糸など飛ぶにかあるらし
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