吉田隼人


この冬のあい間あい間に春の風吹きいたり引きちぎられてゆく四季

花山周子「ちょうちょう、」(『外出』3号:2020年)

 この春はやたらと長かったように感じる、COVID-19の流行で自粛期間が長かったこともあり、四季の感覚が崩れてしまった。そのことを表現した一首。

「コロナ禍」のなかで一人の母親として暮らす不安と不穏さとが強く出た連作だったが、特に一見するとCOVID-19とは何の関係もない次のような歌に、いちばん恐ろしさを感じた。

フウセン ガ コインランドリー ニ フエテ ユク ドノ イロ ミテ モ キレイ ダ ナ。 同上

単に色とりどりの風船がコインランドリーに飾られていく光景を詠んだだけなのだが、童謡の「チューリップ」に重ねることでなおのこと不気味さが増す。ましてや全てがカタカナで書かれており、しかも節ごとに区切られているのだから不気味な印象を与える。半ばやけくそ、捨て鉢な感じもする。