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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2010年8月
蟬たちの呻吟にけふの陽(ひ)は揺れて千年前のたそがれに逢ふ
睡りゐる麒麟の夢はその首の高みにあらむあけぼのの月
学生帽目深くつけて歩(あり)くとき樹木のごとき思ひぞ我ら
空間に半開きの扉(と)のある夢を怖れて時に現実(うつつ)に見たり
人の声渦巻く中に眼つぶれば笑うというより咲いている君
日昏れ来る 黒き帽子をかむりたる紳士の群れの降り立つやうに
日常という重圧につぶされてもう開かざる勝鬨橋(かちどきばし)も
子らははや遊びを止めて色赤きビニールプール西日に乾く
おのづからなる生命のいろに花さけりわが咲く色をわれは知らぬに
くしゃくしゃな引越しの荷の中に見し妻が旧姓のあるペンケース
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