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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
江戸 雪
君が火を打てばいちめん火の海となるのであらう枯野だ俺は
火照る肉と痛みの腸(わた)を脱ぐがよし姉よ花野へ発つ時刻なる
いさかひの声よりさびし弟と姉の口笛とほくに揃ふ
君よたとへば千年先の約束のやうに積乱雲が美しい
はまゆふのそよがぬ闇に汝を抱き盗人のごと汗ばみにけり
膝がしら並べていたねゆるしあう術もないまま蝶を飛ばせて
いつの世か会ふといへども顔も見ず訣れしゆゑに吾子とわからじ
あなたとふ存在を愛で秋の陽の黄金(くがね)をも賞で陸(くが)澄み渡る
輪郭があいまいとなりあぶら身の溶けゆくものを女(をみな)とぞいふ
ここにただ仰ぎてゐたり青空を剥がれつづける場所の記憶を
もうずっとそこにあるような雰囲気で子の顔の真中に置かれしめがね
「好きだつた」と聞きし小説を夜半に読むひとつまなざしをわが内に置き
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