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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2011年10月
手品師の右手から出た万国旗がしづかに還りゆく左手よ
故郷近くなりて潰せるビール缶の麒麟のまなこ海を見るべし
ときおりは呼びかわし位置を確かむる秋の林に家族は散りて
ぼそぼそとももいろの塊(かい)食べながらハムも豚だと思い出したり
大馬(おほうま)の耳を赤布(あかぬの)にて包みなどして麥酒(ビイル)の樽(たる)を高々はこぶ
秋光のいまなにごとか蜘蛛の巣に勃(お)こるまでわが視野の澄むべし
〈姦〉なしてマヌカン積まれしコンテナ車過ぎしか不意に寒ふかき夕
夕かぜのさむきひびきにおもふかな伊万里の皿の藍いろの人
燠のごときひかりと思うガラス戸に身をつけて見る闇の海の灯
天心に半月清かに駆けており君を想わんための一時
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