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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2016年6月
母はよく讃美歌を唱ひしが〈ここはお国を何百里〉などもうたひぬ
空の海にさらはれたりや飛行船 五月の空は底なしの青
髪を耳に挟めばひそと耳の冷えふくらみながら海月の寄り来
『「いい人」をやめると楽になる』…本を戻して書店を出づる
満席を告げつつ椅子がないことがあなたの夜の深さだろうか
晩年を蘭に憑かれて生きにしは神を殺した男ダーウィン
曇天に火照った胸をひらきつつ水鳥はゆくあなたの死後へ
降らずとも傘を持ちゆく子を褒めてたまにはびしょ濡れもいいよと思う
墨壺ゆ引き上ぐるとき筆先は暗黒宇宙を一滴落す
片隅に〈桜桃忌〉とぞ記したれば上司のコメントあり業務日誌に
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