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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2016年10月
僕らには未だ見えざる五つ目の季節が窓の向うに揺れる
ひとりきてひとりたたずむ硝子戸の中の青磁の色のさびしさ
新しき眼鏡にせんと思いおり苦しみてもの書きたるのちに
足早のギマールが地下鉄に乗るまでを確かめ秋かぜの中
漂へるたましひのかたちエシャロットの若根をきざむ桜まふ午後
クロアゲハ横切る木の下闇の道 許せなくてもよいのだ、きつと
衣着けし犬がひかれてゆく土手に野良犬が首をあげて見てゐる
月出でて棹影しかと水にあり付箋のごとく ここに 見えるか
父の口に運ぶ白粥ほろほろとこぼれてしまう白はせつなし
赤煉瓦倉庫の海べ胸もとの漆塗り朱のブローチ冷ゆる
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