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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2017年5月
ヴェランダは散らかっていて六月の台風がもうじきやってくる
空の奥へ空が続いてゆく深さ父となる日の土管に座る
すずやかな空の青さで顔を洗う心地のあした七月となる
親馬に添ひて野を来る仔馬見ゆ親はかなしきものにかもあらむ
波とほく寄する耳鳴り 八月の雲が厚みを増してゆくとき
亡き人を語りて書きてそののちにもつと本当のことを思ひ出す
天からのサインが風に溶けてゐて諦めよといふ九月の朝に
片耳をそっとはなした電話から鎖のように声はこぼれる
十月の孟宗竹よそうですか空はそんなに冷えていますか
吉野にはあの世この世を縫ひあはす針目のやうな蝶の道あり
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