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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
佐藤 弓生
北を指す針だと思ふぼくたちは クリアするのを忘れたゲーム
振り上げた鎌のかたちの半島の把手あたりにひかるまほろば
私ではない女の子がふいに来て同じ体の中に居座る
性別がふたつしかないつまらなさ七夕さやさやラムネを開ける
〈女は大地〉かかる矜持のつまらなさ昼さくら湯はさやさやと澄み
スクラッチノイズの入った曲を聴く みんなどこかへ帰りたい夜
ひとつずつボタンをはめる静けさは白亜の街のさすらいに似て
ヨハン・セバスチャン・バッハの小川暮れゆきて水の響きの高まるころだ
ひとが言葉を失ふことのふしあはせと 憎悪が言語[ことば]より出づるふしあはせ
わたしを信じていて ゆめをみて 絶望を斡旋するのがわたしのよろこび
それぞれの鍵を持ちつつ木曜の午後深海をあなたと覗く
正座して洗濯物をたたみいる膝は大事な作業台なり
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