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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
今井 恵子
ペンギンに踏まれる感触の夢さめて満ちくるごとく身に力あり
鍋の火を消してふりむく裏口の暗さの向こう燃えている空
マンションより月夜に箱を運び出す男に淡き尻尾がありぬ
淡雪にいたくしづもるわが家近く御所といふふかきふかき闇あり
等伯の松林図けふ観にゆかむ朝の床とこにきたる雨音
動かねばおのづからなる濃き影の落ちてをるなり池の鮒の影
独楽は今軸かたむけてまはりをり逆らひてこそ父であること
地の上は暮れゆくばかり振りむけば出で来し穴に光の増しぬ
ひなたより入り来し赤いセーターの少女つかのま陽のにおいせり
いや赤き火鉢の火かもふつふつにもゆる怒りを抑へつつ見る
初詣帰りの道に野の草のハーブ引き抜き妻は手に持つ
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