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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
石川 美南
冬越えむとして厚き葉がかたはらの祈りのごとき幹に触れをり
ダイヤモンドゲームの駒を青と決めいちばん遠い場所にゆく旅
降る雪も過ぐる時雨も沁まざれば我が深淵のかたち崩れず
餅のかび百合の根などのはつかなる黄色もたのし大寒の日々
キャベジンの空き箱ひとつ抱えつつ網棚はゆく電車に乗って
カツ丼とおやこ丼とはちがふから慌てずに見よどんぶりの柄
その名さへ忘られし頃/飄然とふるさとに来て/咳せし男
足元に降り積む雪を見てをれどさびしくてわれは木などになれず
肛門が/一つしかない人間に/もう用はない/出ていきたまえ
人はみな馴れぬ齢を生きているユリカモメ飛ぶまるき曇天
この沼に来し日は知らず発つ時を見ず幾たびか水禽に会ふ
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