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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2014年7月
わがはだか にえをすらしも。いしふねの肌に触りつつ― 夜にいりゆく
再開発のビル建設は進められ古びつつある仮設住居(かせつ)を囲む
我が爪に深く食い入るくろき垢春深む夜の酔にきたなし
ひと穴に一匹づつ待つ蟻地獄ベージュの砂をへこませてゐて
昏れゆけば信濃は早き夕餉どき母のなき娘が膳運びくる
くらあい誰もゐない博物館大きなほとけさまがぼくをみつめてゐる
わが洞のくらき虚空をかそかなるひかりとなりて舞ふ雪の花
このごろの日暮れおもえば遠天を あじさいいろのふねながれゆく
わが袖は潮干に見えぬ沖の石の人こそ知らね乾く間ぞなき
臼歯ほどの消しゴムを取りに少年は小教室に戻りて来たり
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