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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2015年3月
家の具みなはこび去りたる此家にしまらく我は立ちて思へり
多忙の中届けくれたる娘の煮物かすかに焦げし香のまつはりて
フェイクファーかすめた指にしみついて恋はいつでも冬の匂いだ
奔馬なる地球に棲みてわれら百年に満たぬ短き生を終ふるか
店頭に並ぶ無眼の目刺にもどどっと春の怒濤が甦る
被災の子の卒業の誓ひ聞くわれは役に立たざる涙流さず
犬の事情わたしの事情ゆうづつを仰ぐかたちで枯れ草蹴りぬ
あまたなる死を見しひとと見ざりしひとと時の経つほど引き裂かれゆく
黒々としげる樹海の遥けきにパンケトー・ペンケトー二つ湖
杉の木が吐息を吐けり春うらら関東平野はくしゃみに震え
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