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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2017年7月
幼年時代の記憶をたどれば野の果てで幾度も同じ葬列に会う
桃の木はいのりの如く葉を垂れて輝く庭にみゆる折ふし
七月十七日かなかな鳴けり幾度か短く鳴けり夜のベランダに
連結して貨車降りるときこはばりし指のはずれずふる雨の中
モナリザは笑みてをらずと夢に来し誰かは言へり雨月ふかき夜
さそはれて窓より首を出すときにみじかすぎたり人間の首
「蠅はみんな同じ夢を見る」といふ静けき真昼 ひとを待ちをり
給油所のうえの虚空はさざなみの沼につづけり 横ながの沼
橋なかば傘めぐらせば川下に同じ橋あり人と馬行く
さかいめのなき時を生きゆうらりと瞳うるわし川底の魚
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