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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
今井 恵子
葦の間に光る水見ゆをさなくてかなしきときも川へくだりき
アダムの肌白人は美はしき白といひエチオピアの子は褐色といふ
かなしみはひとふりのむちせかれつつ歩むわが背に響く風音
たどりつく浜の薊に羽根ひらきあさぎまだらは全身さらす
セイロンの紅茶淹れつつ思ふかなこの葉を摘みし人の指先
寒雀このあかつきのさへづりにおもてただしてわれはありたき
午後の陽は卓の向かうに移りきて人の不在をかがやかせたり
発音で出自が知れるイギリスの階級社会を強く憎めり
羞やさしさはこころのはじめ水こえて来たる子の眼のなかの冬蝶
カナリヤの囀り高し鳥彼れも人わが如く晴を喜ぶ
枝を過ぎ葉に触れはにふれそしてみなわが眼のなかへ雨おちてくる
みづからを家の深くに進めゆく音せりよるの老い母の杖
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