コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
三井 修
歌の作者を知るゆゑ配慮あるらしき批評も聴きぬ被災地の歌会
たれか死に動かぬ電車にひとびとは顔をあげずにメールを打ちぬ
旧姓と新姓われをつかひわけ旧姓のときのびやかにゐる
欠けそめてゐるをさらしてのぼり来し冬十六夜のさびしき面(おもて)
卵黄を白パンをもて拭うときよべ見し夢を忘れてありぬ
ふくませしロタワクチンをみどり児が飲み込むまでをわれら見守る
あらゆるルートをさぐるといふが、らすかる國への飛行ルートさへも
今日もまた捨身の赤に落つる陽を山はしづかに全身に受く
とどかない場所あることをさびしんで掌はくりかえし首筋あらう
松や春 就職決まりし子の一生(ひとよ)を見渡すさびしさかつておもわず
和紙の上跳ねる蘭鋳(らんちゅう)あかあかと鮒ゆ進化の果てを腫らして
逆立った髪の先から燃えてゆく裸になった白いそうそく
投稿ナビゲーション
前のページ
固定ページ
1
…
固定ページ
12
固定ページ
13