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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2010年7月
城のごときものそそりたつ靑年の内部、怒れる目より覗けば
一枚の襖にすがるがに立てり母を支ふるいちまいふすま
助走なしで翔びたちてゆく一枚の洗濯物のやうに 告げたし
何にすといふならねども輪ゴム一つ寂しき夜の畳に拾ふ
耳掻きはたぶん黄泉にては不要ならむ生きをるもののためのこの形
夕闇にわずか遅れて灯りゆくひとつひとつが窓であること
絶間なく漕がれ続けてきしみ鳴る日常といふ脆きぶらんこ
つるつるに頭を剃っておりますが僧の中身は誰も知らない
会津野をほどろほどろに降り敷いて水雪(みづゆき)ほんにかなしかりける
ふるさとの土蔵の壁にかの日より立てかけられてある捕虫網
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