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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
なんだか、/なんだかとつても/かなしいんだ//サン・マルコ広場の人/鳩まみれ
さ夜ふけていくさの塲(にわ)にきて見ればほむらたちのぼる屍(しかばね)の上
気が付いた時には世界の中にゐて海見むと海に来るのことのあり
紫の理想の雲はちぎれぎれ仰ぐわが空それはた消えぬ
折り返すマラソン走者のおほきなる呼吸がわれの呼吸こえゆく
熱を病むわが子の脈をさぐりつゝ窓ごしに見る日まはりの花
あまだむ軽きジャンプの終るまで地球の自転やや遅くなる
「行つて来ます」言はずに登校したる子の茶碗のねばねばいつまでも洗ふ
いくたびも顎打たれたるボクサーのふたたびを起つ意志を恐るる
はすかひに簷(のき)の花合歓(ねむ)うつしつつ化粧鏡は昏(く)れのこりたり
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