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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
佐藤 弓生
ほの暗き腋は植物にもありて葉腋に咲く金木犀の香
につぽんを捨ててよし若き博士らよわれもいはれきいまにわがいふ
千年のいのち寿ぎ家持が挿頭しし〈ほよ〉か 千年を仰ぐ
モノクロームの午後はノートの罫線をなぞり続ける左手がいる
水底[ミナソコ]に、うつそみの面わ 沈透[シヅ]き見ゆ。来む世も、我の 寂しくあらむ
木々が枯葉を落とすみたいにかなしみを手放してゆくひとになりたい
曇り日の複写機ひらき詰まりたる雲のひとひらつまみ出したり
車椅子重たくなりて夢のなかの母はいづこを歩みゐるやら
すぎされば悪意も秋の陽だまりのなかにちいさく吸われてゆけり
ひとつづつ透きゆく卵パックには阿古屋貝のかなしみが溜まる
残像をひきて振り子は狂ひなき軌道のさきのたましひを打つ
「斎藤さん」より少しだけ美しい「真夏の夜の夢の斎藤さん」
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