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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
石川 美南
ゴリキーのいのち果てしはきのふにて今日は日食にこころいきほふ
ある時は小さき花瓶の側面(かたづら)にしみじみと日の飛び去るを見つ
逆立ちて視る風景よわたくしは芯まで熱き地球儀の脚
乳鉢のやさしき窪みに磨られいる硫酸銅や菫や血など
狩られては低き草生に身を伏せてかつがつ在るを鳥とおもふな
春の大気かぶりを振ってまぜかへすレトリーバーの毛脚ふかぶか
「ロバの耳」がたくさん落ちている穴へ私も落とす夕べの耳を
同年代そは幻よ春陽射すひと日を隔てたるゆゑひとり
わが乗れる山手線がうつりをり切手博物館の窓それぞれに
鳩時計鳴くを止(と)めしが鳩を闇に押しこめし如きこだはり残る
抑え難く感情の動く二日三日椅子に突き当り階に躓く
刈られたる男の髪の燃えつきて夜の集落に理髪店閉づ
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