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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2009年6月
会えるとは思わなかった 夏が麻痺してゆく船の倉庫のかげで
桑の實數千(すせん)熟れつつ腐るすでにして踰(こ)ゆべき海も主(しゆ)もわれになし
無縁なるものの優しさ持ち合ひて草食む牛とわれとの日昏れ
熱湯に月桃花茶のティーバッグふかく沈めてこの世にひとり
愛を告げすぎて不安になるこころあまたなるゆすらうめの実のゆれ
手の触れる範囲に誰かきつとゐるガマの闇からひそひそと声
ともにゐてかなしいときにかなしいと言はせて呉れるひとはゐますか
もっともっとさみしくなるとガラス窓にあじさいは頭を押しつけてくる
君こそ淋しがらんか ひまわりのずばぬけて明るいあのさびしさに
汗香る髪はいつしか雨となる雨のむかうに灯る紫陽花
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