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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2011年5月
くちなはの水を切りゆくすばやさをちらと見しより心やぶれぬ
たまり水が天へかへりてかわきたるでこぼこの野のやうにさみしい
溜められし雨水に残る死のにおい凡庸のわが庭に撒かるる
叫喚(さけび)上ぐ高層ビルの解体の瞬時逃げおくれしたましひが
戸棚よりコーヒーカップ取り出しぬそつと世界のどこかに置かむと
体には傷の残らぬ恋終わるノンシュガーレスガム噛みながら
微生物ひきつれ弥陀はたたなづく青垣を越ゆしたしたと越ゆ
死者の魂(こん)翼に乗ると空みつつまなこ澄みけむ古へびとら
夜の更くるお茶の水橋の下びには人面(じんめん)なして葛の葉が吹く
薄氷(うすらひ)の上を生きつつみひらけばきみ立ちて舞ふ月のおもてに
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