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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2012年3月
氷塊に映りておれるわがからだ輝く鋸(のこ)に引かれはじめつ
はれやかな空調あればこの春の気配は消えてひとり来ている
雨ゆゑにブルドーザーが休む日の地表いまだけ本音のにほひ
夕ぐれは焼けたる階に人ありて硝子の屑を捨て落すかな
妬心を鎮めゐたれば家並より炬火(きよくわ)のやうなる月のぼりくる
同じ場所にとどまりたければ走ること(ただし黒鍵は踏まないように)
白堊(チョーク)をばきゝとひゞかせ一つひく文字のあとより起るかなしみ
水際に夕日を引き込む重力が遠いわたしに服を脱がせる
しらしらと老いのしら髪ぞ流れたる落葉の中のたそがれの川
だまっても口がへらない食卓にわたしの席がみあたらないが
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