2017年09月のアーカイブ

中垣のとなりの花の散る見てもつらきは春のあらしなりけり

なめらかなわたしの腕を撫でる手がわたし以外にあるべき、九月

けつたいなしぶい子やつたそれがかうほとりと美味い、渋柿を食ふ

ひとしきり思いを馳せる 自販機のしくみに まだ見ぬきみの新居に

鳥語 星語 草語さやかに秋立ちて晴れ女われの耳立ちにけり

昔からあった感じの葬儀屋の戸前にドライ・アイス・ボックス

氷売るこゑもいつしか聞きたえてちまたのやなぎ秋風ぞ吹く

アトラクション終わるみたいに叡電が出町柳のホームに参ります

食堂の黄なる硝子をさしのぞく山羊やぎの眼のごと秋はなつかし

誤って世界から離脱しないようわずかな尿意を残して眠る

うしろより『わ』とおどせしに、/先方の、おどろかざりし、/ ごとき寂しさ。

救命の練習用の人形に雑にあけられている耳穴

薄日さすしろい小皿に今朝もまたUSBを置く静かに

そういえばもう長いこと空(青いやつです)色の空を見ていない

古屋根に雨ふる駅の小暗さがのどもと深く入りくるなり

逝きかけの蟬を励ますこの夏にとくに未練はないはずなのに

すっくりと秋冥菊が咲きだして姉なき今年の秋がはじまる

獏たちが来たときに差し出す夜を祈りと思い出に分けておく

除草用ヤギを貸出す広告に立ち止まりたり「食べつくします」

初雪が降ったみたいに顔を上げおそらく震度3のファミレス

バスを待つ女生徒たちのその太き脚は、秋たけて葡萄踏む脚

一九八四年九月六日蒲田女子高裏窓の少女たち

たんぽぽがたんぽるぽるになったよう姓が変わったあとの世界は

きみの持つ釣りざお見ながらゆく港 寒い そうだね噓みたいだね ね

くしゃっ、って笑うあなたがまぶしくてアップルパイのケースさみどり

中学生のカップルねむるシアターが映し出すマイケル・J・フォックス

月別アーカイブ


著者別アーカイブ