2017年11月のアーカイブ

欅木の黄葉のなかを一葉一葉丹念こめて散りゆく落葉

地震やらサリンがばら撒かれたときになんで俺らは産まれたのだろう

親指の爪ほどもなき消ゴムに推敲の一首またも消したり

巻末の旅のひとことウイグル語「ありがとう(ラハメット)」を指し注文終えぬ

映さざるものは見なくてよきものか辺野古の海をテレビは映さず

厨辺にぽとりぽとりと水おちてうつぶせのごとく冬に入るなり

雪の上に影ひきて立つ裸木に耳を当つれば祖父おほちちのこゑ

掃除機は仰向けのままひかれをり「ずぼらやなあ」と叱られながら

不安げなる顔して病室に入りくるむすめよここだ父はここにゐる

農機具のレバーを握る夜の夢しょうがねぇなァ田園を刈る

吾子わこ遠く置きし旅の母の日に母なき子らの歌ひくれし歌

猫の腹に移りし金魚けんらんと透視されつつ夕日の刻を

我ならぬ生命いのちの音をわが体内みぬちにききつつこころさびしむものを

お酒呑みません煙草吸いません運動しません すみません

薄翅に触れないように湯上りのおさなをタオルで包む 秋くる

新潟のさといもぬめるしっかりとここで暮らして雪を見なさい

くちびるは言葉をさぐるふりそそぐ秋の光のさはれないもの

香りさえ想像されることはなくりんごはxみかんはyに

もやの中ひかりて落ちるいくすじの分れてた会う光いくすじ

歩きつつ本を読む癖 電柱にやさしく避けられながら街ゆく

関節のやはき指もて髪の根を洗はれてをり今日は立冬

この空に数かぎりない星がありその星ごとにまた空がある

水の輪が水の輪に触れゐるやはらかなリズムのうへにまた雨が降る

恋愛が恥ずかしかった夏 海を見るためだけに海に出かけた

柿の実のびつしりとつく木の下に落葉みづみづし厚く積もりて

観賞用金魚百匹と日を送る 観られているのは吾かもしれず

月別アーカイブ


著者別アーカイブ